- Saitec Offshore TechnologiesとRWE Renewablesは、浮体式洋上風力実証プロジェクトDemoSATHの製造組立業者にFerrovialを選定し契約を締結
- プレキャストコンクリートと浮体の組立てを発注
- 建設予算の90%は地場サプライチェーンに投入-試運転は2022年の予定
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2020年10月28日 エッセン/ビルバオ
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RWE Renewablesグローバル洋上風力発電部門COO スヴェン・ウーターメーレン
Saitec Offshore TechnologiesとRWE Renewablesが共同で進めているDemoSATHプロジェクトにおいて、洋上風車用浮体式プラットフォームSATHの製造、組立てを請け負う業者として、インフラ事業の世界的なトップ企業であるFerrovialが選定されました。現場準備、コンクリートのプレキャスト、スチール隔壁の調達、浮体の組立て、サプライチェーンの管理など一連の建設作業には14ヶ月を見込んでいます。この度の契約締結はプロジェクトにとって重要なマイルストーンであり、これをもってスペイン北部のビルバオ港での作業が始まることになります。新型コロナウィルス感染症対策を講じた労働安全衛生規則のもと、2020年11月に着工し、プロジェクトのピーク時には地元から約60名の雇用を予定しています。
2020年2月、RWE RenewablesとSaitec Offshore Technologiesは、スペインのバスク海岸沖にて洋上風車用浮体式プラットフォームの共同実証試験に取り組むことを発表しました。このDemoSATHプロジェクトでは、浮体式としては初となる数メガワット級の洋上風車をスペインの電力系統に接続します。RWE Renewablesはプロジェクトに出資し、洋上風力発電世界第2位の企業として蓄積した豊富なノウハウを投入することで、プロジェクトから多くの知見を得ることができます。
SATH技術は、モジュール形式でプレファブしたコンクリート部材をブレースした、双胴船型の浮体をベースにしています。浮体は、一点の固定係留点を中心として、風向および波向に合わせて位置調整することができます。
Saitec Offshore Technologiesのダビド・カラコサCTOは次のように述べています。「商業生産に早くつなげていくことが私達の目標です。そのためDemoSATHは、SATH技術の実現可能性だけではなく、量産化への道筋を示すプロジェクトでもあるのです。Ferrovialは、私達の目的を確実に達成していくうえで頼りになる、完璧なパートナーです。」
Ferrovialでバスク地方の建設マネージャーを務めるアルベルト・バル氏は次のように述べています。「これは当社にとって初めての浮体式洋上風力プロジェクトになります。当社が蓄積してきた海洋建設とプレストレストコンクリート構造物の経験で貢献してまいります。このプロジェクトは材料面のみならず、製造と組立工程の開発という意味でも大変革新的なものです。」
実証に使用する大型プロトタイプ用の構造物と2メガワットの風車は、ビルバオ港で組立てる予定です。構造物の底部は幅約30m、長さ約64mとなります。風車を含めたプラットフォームは、沖合2マイル(約3km)の海域にある実証フィールドの係留ポイントまで曳航する計画です。当該海域の水深は約85mです。チェーンと繊維から成るハイブリッド係留索を海底に固定し、浮体を定位置に維持します。運転開始は2022年初頭の予定です。実証ユニットが年間に発電する電力は2000世帯分の電力需要をまかなうことになり、これにより大気中に排出されるCO2量を5100トン以上減らすことができます。
DemoSATHプロジェクトでは、このユニットの建設、運用、保守を通して、データを蓄積し、現場での知見を獲得することを目指しています。将来の量産化に向けた建設手順に加えて、プラットフォームの洋上での挙動を試験します。Saitec Offshore Technologiesはウィンドファームの商用化を目指し、浮体を複数の部分に分けてプレキャストした後に組立てることで製造の効率化を図っており、本プロジェクトではその効率性を実証することになります。
SATHは建設資材として主にコンクリートを使用するため、現地調達率の向上に寄与する技術でもあります。DemoSATHプロジェクトの建設予算の90%は地場サプライチェーン(実証サイトから50km圏内)に投入することになります。
世界各地の洋上風力発電所の設計を現地の状況に合わせて柔軟に対応できるよう、RWEはSATH技術の他にも、ノルウェー沖や米国などで浮体式洋上風力発電技術をテストしています。